【パーツ心理学とは】私たちは多重人格?自己否定をゆるめていくパーツセラピーのアプローチ

今回は、いま心理の領域において注目を集める「パーツ心理学(パーツセラピー)」についてです。

パーツ心理学(パーツセラピー)とは、私たちの心を「複数の部分(パーツ)から成るシステム」として理解する心理モデルです。

私が、この「パーツ心理学」についてお伝えしたいのは、

その理論やモデルだけではなく、

「自分への理解や労わり、優しさが自然に生まれてくる」というプロセスです。

  • どうしても自分を優しい目で見ることが難しい…
  • 葛藤が多くて疲れてしまう。
  • 怒りや意地悪など、ネガティブな感情を何とかしたいと苦しんでいる。

そんな方にぜひ読んでいただけたらと思います。

「自分を何とか変えよう」ともがくのではなく、

自分の心の構造を見つめ、隠されている本当の「言い分」に気づいていくことで、自分への「やさしい目線」が生まれてくる。

そんなアプローチについてご紹介します。

目次

私たちの中には、まるで多重人格のように「さまざまな自分」が存在します。

「パーツ心理学」のモデルについて分かりやすく説明するために、ここではあえて「多重人格」という少し強い言葉を、比喩として使ってみます。

もちろん、これは医学的な診断名としてのそれではありません。

あなたは「多重人格」という言葉から、どのようなイメージを思い浮かべるでしょうか。

一般に、多重人格障害(正式には「解離性同一性障害」、DID)とは・・・

  • 1人の人間の中に複数の人格状態が存在していると理解される。
  • そのときどきで前面に出る人格状態が切り替わることがあり、それが交代すると別人のようになってしまう。
  • ある人格が表に出ている(その人を支配している)間、他の人格は何が起きているか関知できないことがある。

などの特徴を持つ、医学的な診断概念です。

皆さん「多重人格」と聞くと、

自分には関係無い

と、自分とは無縁の特殊なケースだと思われがちですが…

でも、「この特徴と近いことが私たちの心の中で起きている」と言ったら、

どう感じるでしょうか?

実は、私たちの心というのは、

「多重人格」になぞらえて捉えみると、より理解しやすい構造なのです。

「パーツ心理学(パーツセラピー)」とは…
私たちの心は「たくさんの人格(パーツ)」の寄せ集め

多くの方が自分の「心」というものについて、

「ひとつの心」、「ひとつの人格」を持っている

そう考えていらっしゃるかもしれません。

けれども、実際に心の中で起きていることは・・・

  • 「やるべきだ」と思う気持ちと、「やりたくない」「自分には無理だ」と思う気持ちがあって、葛藤してしまう。
  • 相手のことを大事に思う気持ちと、嫌だと思う気持ちが同居している。
  • 外ではしっかりした人として振舞っているが、その内側には、不安や助けて欲しい気持ちもある。
  • 人を馬鹿にする気持ちや意地悪な気持ちが湧き上がって来る時がある。
  • 相手に対して、怒りと、見捨てられる不安という相反する気持ちがある。

などなど。

まるで「多重人格のような状態」だというのは、私たちの日常を振り返れば、誰もに心当たりがあるのではないでしょうか。

私たちの心って、

矛盾や混乱がいっぱいあって、

そして「24時間365日、どこでも誰の前でも同じ自分」なんかではまったくなくて。

「これが私」と思っている私って、実は「たくさんの人格(部分、パーツ)」が集まったもの。

そう考える方が、ずっと心の実情に沿っているんです。

それくらい、私たち人間の心の構造というのは複雑です。

このように、私たちの心を「人格(部分、パーツ)の集まったもの」として捉えるモデルを「パーツ心理学(パーツセラピー)」と言います。

葛藤している時に起きていること。

たとえば、「やらなきゃいけないのに、どうしてもできない・・・」と言う時。

これを「パーツ心理学」の観点で見てみると、

  • 「やらなければダメだ」というパーツ
  • 「やりたくない」とか「面倒だ」というパーツ

自分の中に、この2つのパーツが存在していて、それが戦っている状態と言えます。

けれども、私たちは普通は、自分の心を「パーツの集合」とは見ずに、

「自分」という「ひとつの心・人格」として見ますよね。

そうすると起こりがちなことは、

どうにか力で一方の考えを押さえつけようとしたり、
葛藤が大きすぎると、どうしたら良いか分からずに動けなくなったり
…

そうやって苦しんだり疲れたりしてしまいます。

さて、その葛藤状態を、

「自分の中に、相反する2つのパーツが存在している」と見てみるとどうなるでしょうか。

ここで大切なポイントは、
「そのどちらのパーツにも、それぞれ言い分がある」ということです。

私たちの中のさまざまな「人格(パーツ)」たち。

私たちの中に存在しているそれぞれのパーツは、
本当に「人格」と言えるほどの、独自の考えや感情を持っていたりします。

つまり、どちらかが正解で、もう一方が間違いとかではなくて。

「どちらも独立した存在であり、それぞれ違う言い分がある」ということ。

パーツたちというのは、おのおのが、

まったく違う背景を抱えていて、

違う意見や気持ちを持っています。

まさに「別の人格」とも言えるほどの違いがあるのです。

内的な戦いや葛藤が起きている時というのは、

それぞれのパーツが、お互いに相容れない意見や気持ちを持っているために、

お互いに譲らない・譲れない…

そういう状態が起きています。

自分の中に様々なパーツが存在していて、それぞれが違った言い分を持っている。

そういう視点を持ってみると、
不思議と、ちょっと気持ちが軽くなったりしませんか??

良かったらやってみてくださいね!

内的家族システム療法(IFS)
…パーツたちを家族のような「ひとつのシステム」として捉える

ご参考までに、パーツ心理学のひとつに「内的家族システム療法(Internal Family Systems Therapy:以下IFS)」というアプローチがあります。

IFSでは、私たちの心の中のパーツたちを、バラバラの存在としてではなく、家族のような「ひとつのシステム」として捉えます。

そして、個別のパーツを癒そうとするのではなく、システム全体のバランスを取るという視点を大切にしています。

どういうことかと言うと、例えば「不登校の子どもがいる家族」をイメージしてみてください。

このとき、「子ども本人に問題がある」だけと見て、子どもだけにアプローチをしても、状況は変わらない場合も多くあります。

そこで、子どもが不登校になっているという状態を、「家族というひとつの相互作用するシステム」の中で起きていることと捉え、家族全体の構造にアプローチしていく手法が「家族療法」です。

IFSでは、この考え方を個人の心に応用したものです。

家族療法と同様に、私たちの心の中の様々なパーツたちが、家族のメンバーのように「システム」を構成していると考え、パーツたちの役割や関係性を理解したり、「言い分」を聞いて行ったりします。

「なぜこのパーツは、今この役割(たとえば怒りや不安)を担わなければならないのか?」

その背景にある役割や関係性を理解し、それぞれのパーツの言い分を丁寧に聞いていく。

それによって、心、つまりシステム全体が、よりナチュラルで優しいものになって行くことを目指します。

「Self~本来の自己~」から見る

またIFSにおいては「Self~本来の自己~」という概念があります。

「Self~本来の自己~」は、パーツ(人格)ではない、私たちの本質であり、
「人格」ではなく、「在り方」や「質」です。

この「Self~本来の自己~」には、以下の「8つのC」と言われる質があります。

「Self~本来の自己~」の「8つのC」
  1. Calm 落ち着き、穏やかさ
  2. Clarity 明晰さ
  3. Curious 好奇心
  4. Creative 創造性
  5. Confidence 自信
  6. Courageous 勇気
  7. Compassion 思いやり、慈愛
  8. Connectedness 繋がり

この「Self~本来の自己~」の視点からパーツたちを見つめて行くことによって、

パーツたちの表面的ではない本来の姿や役割が見えやすくなり、

またSelfからの、パーツたちへの理解や思いやりがパーツたちを癒して行きます。

「パーツ」として見ることで、客観的に自分を見られる。

さて。

セッションでは、心の仕組みを知っていただくために、まずこの「パーツ」のお話をすることがあります。

この「自分の心をパーツとして見る」という視点を知っただけでも、「ホッとした」とおっしゃるクライアントさんも少なくありません。

たとえば、「ある状況で、どうしても人に対して意地悪な気持ちが出て来てしまう」ということに悩んでいたクライアントさんがいらっしゃいました。

その方は、この「パーツ」の話を聞いて、

私の中に「意地悪なパーツがある」ということなんですね。
私そのものが意地悪な人間なのではなくて、私の中に、私の一部として「意地悪なパーツ」が存在しているのだと思うと、すごく救われます…

そんな風におっしゃっていました。

本当にその通りなんです。

その方も、24時間365日、いつでもどの場面でも意地悪な気持ちを持っているわけではない。
穏やかだったり、優しい気持ちだったりする時もあるわけです。

けれども、

何かのトリガー(刺激)に触れたときに、

その意地悪なパーツが、ぱっと自分の前面に出て来る。

すると、まるで自分のすべてが「意地悪な人間」になったかのような状態になってしまう。

心の中で起きているのはそういうことです。

意地悪なパーツ、攻撃的なパーツが存在する理由とは。

また、最も大切なのは、先ほどお伝えしたように、

「どのパーツにも、それが存在する理由がある」ということです。

その「意地悪なパーツ」も、何かしらの理由があって存在しているのです。

こうした、意地悪だったり、他者に対する攻撃的なパーツの場合は、

ものすごく傷ついた自分を守るために存在している・・・そういう場合がほとんどです。

たとえば、ずっと愛や優しさを感じられずに生きてきた人が、

自分には、どうやってもそんな愛や優しさなんて手に入らなかったのに!

みんな幸せそうに笑いやがって!

そんな悲痛な叫び、心の痛みを抱えていて、

その結果、幸せそうに見える人に怒りや嫉妬を感じたりする・・・

「ああ、そういうことってあるよなあ」って、皆さん想像できると思うのです。

意地悪とか、他者への怒りやイライラとかを、

私たちはどうしても「良くないもの」「ダメなもの」と見てしまいますよね。

だから、

その「意地悪」や「怒り」がなぜ存在しているのか?という理由や、

その奥に存在する傷ついた自分には、

まったく気付いていません。

「パーツ」の視点で見ると、見えてくるもの。

自分の中の「意地悪な自分」や「怒りを抱えている自分」を、「パーツ」ではなく「自分自身」そのものとして見てしまうと、

どうしても、否定や色々なジャッジが入りやすくなります。

そうすると、そのパーツが抱えている痛みや苦しみが見えにくくなってしまいがちです。

純粋に、その痛みや苦しみを見てあげることが難しくなってしまう。

けれども、「自分の中の一部(パーツ)」として見ることで、

  • 客観的な視点、ジャッジの無い透明な目で見てあげられやすくなる。
  • 「なぜそんな風に思うのか」というのを、感じ取ってあげられやすくなる。

そう思います^^

そして、

「そのパーツが存在している理由」
「そのパーツが果たしてきてくれた役割」

それらが本当に見えた時に、

そのパーツに対しての、

つまりそれは、自分自身に対しての労りや思いやりが、自然に湧いてくる・・・

それはとても温かくパワフルな癒しだと、私は思うのです。

セッションでは、このパーツ心理学の理論に基づいたアプローチも取り入れています。

自分の中にいるパーツたちの存在理由や「言い分」を知ってみたい方は、ぜひセッションでご一緒に見ていきましょう。

私たちの中には、様々な自分が存在している。

以前、ある方から聞いたこんな言葉。

私たちの中には、

マリア様も、ヒトラーも居る。

それを聞いた時に、理由も分からず涙が溢れました。
きっと、私にとってはそれが「真実」として感じられたのだと思います。

私たちの中には、様々な自分が存在している。

美しい自分も。

醜い自分も。

それを正直に、透明な目で見つめて、

受け容れて行く。
赦して行く。

既に愛され、赦されていたことを思い出して行く。

難しい時もいっぱいありますが、
でも、癒しの道って、愛だなーと思います^^

ここまで読んでくださったあなたは、
すでに、ご自身と向き合うことをされてきた方ではないかと思います。

けれども、

  • 思うような変化を感じられない。
  • 学んできた知識と体験が結びつかない。
  • 手ごたえの薄さや行き詰まり感がある。
  • 楽にはなってきたけれど、根本が変わった感じがしない…。

もしもそのような感覚をお持ちであれば、
今まで取り組んできた方法では届かないところに、その原因があるのかもしれません。

この記事を読んで、

「今まで楽にならなかった理由が分かった気がする」

「これが原因だったのかもしれない」

そう感じられる場合は、当方のセッションがお役に立つかもしれません。

サポートが欲しいと思われる場合は、どうぞご活用ください。

あなたご自身の確かな体験としての、癒しと変容のプロセスをお手伝いをさせていただきます。

また、これまで癒しに取り組んだことが無く、
「自分を癒したい気持ちはあるけれど、具体的にどうすればよいか分からない」
という方にとっても、セッションはひとつの入り口になるかもしれません。

ご一緒に取り組んでいきましょう^^

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