セッションを継続して受けてくださっているクライアントさまの、実際のセッションの一部をご紹介します。
私のセッションは、具体的に何をしているかを言葉で説明することが難しいのですが、実際にセッションの中で何が起きているかを見ていただくことで、伝わるものがあるかもしれません。
※ご本人のご承諾をいただき掲載しております。
セッション内容
セッションの最初に、クライアントのNさまが、最近の状態などについて話してくださいました。
職場の状況があまり良くなくて、心理的な負担が大きい。
慢性的な胃腸の不調がある。
医学的な検査の結果は異常が無かったが、腸の痛みや、胃が石のように固いなどの症状があって、今も感じている。
自分をケアしようと「ホ・オポノポノ」などをやってみても、「やらなきゃ」と脅迫的になってしまい、楽になるどころか、逆に苦しくなってしまう。
ただ、セッションを継続してきて、自分の身体の状態に前よりも気づけるようになってきたし、前回のセッションで感じた静けさや心地よい感覚を日常の中でも思い出してみると、身体の緊張が少し和らぐ。
特に今は、対人援助の職場のストレスが大きく、身体もしんどい状態だとのことでした。
Nさまのお話と身体の状態から、まずは少しでも身体的な負担を軽減し、神経系の調整をすることが適切だと判断したため、その方向で進めていくことでNさまの同意をいただきました。
「その人の中で実際に起きていることを見ていく」とは、どういうことか。
「身体的な感覚としての安心感・安定感」を育んでいくとは、どんなことなのか。
その一例として、今回のセッションをご紹介します。
疲労や身体的な負担が大きい時に強い感情やトラウマを扱おうとすると、かえって負担を大きくしてしまうことがあります。
そうした場合、まずは身体の負担を少しでもやわらげることや神経系の調整をすることなどが、癒しや回復の助けになります。
神経系のキャパシティを超えて感情やトラウマを扱っても癒しに繋がりにくい理由は、以下の記事をご覧ください。

セッションの概要
T:職場のストレスが大きいというのは、以前からお話してくださっていますよね。
Nさんのお話からすると、単純に条件だけで考えると、「この仕事でなければならない」ということは無いのかなと思いますが、
でも同時に、これは私の印象ですが、この仕事は、恐らくNさんにとって何らかの大切な意味があるようにも思います。
いかがでしょうか。この仕事は、ご自身とって、どういうものだと思われますか?
N:そうですね、大変だけど、でも辞めようとは思わない…。
もう少し楽に仕事ができるようになったらいいなとは思うけど、でも、人間に興味があるんだと思います。
T:「人間に興味がある」ということを、いま時間を取って、ご自身の中でしっかり感じてみると、どんな感じがするでしょうか?
N:なんだか明るさを感じます…少し軽くなる。
身体の緊張も、さっきよりもやわらいできました。
T:「人間への興味」というのは、Nさんにとって、大切な要素・質かもしれませんね。
N:そうだと思います。
だから、大変だけど辞めずにこの仕事をしているんだなと思いました。
T:そのことに気付いて、言葉にしてみると、どんな感じがするでしょうか?
N:そうですね、私にとって、それは大切なことなんだという感じがします。
お腹のあたりが、少ししっかりするような感覚があります。
T:これはご提案ですが、いま腎臓に触れてみるのはいかがでしょうか?(腎臓へのタッチ)
やってみて、不快だったりしっくりこなければ、やらなくて大丈夫ですのでおっしゃってくださいね。
N:心地よいです。なんだか、支えられているような感じがします。
背中に、力強くしっかりした支えがある感じ。
T:その、背中の力強い支えが、もし何かNさんにメッセージを持っているとしたら、どんな言葉を言いそうですか?
N:「頼ってもいいよ」と言ってくれているような感じ。
…でも同時に、ハートが疼くような、少し居心地の悪い感じも出てきました。
N:今まで気付いていませんでしたが、普段、どこか拠りどころの無い感覚があったことに気付きました。
拠りどころが無くて、不安というか、ふわふわ、フラフラしてしまうような…
そして、焦燥感、焦りのようなものもある。
この拠りどころの無い感じや焦燥感は、職場にいるときも結構感じているかもしれない。
いま腎臓に触れていると、その拠りどころの無い感覚が薄れる感じがします。
T:その「支え」を、身体はどう受け取っているでしょうか?
N:「大丈夫」と言ってもらっている感じ。
しっかりした、心地よい重さを感じます。
いま、拠りどころの無さは、背中で感じていることに気づきました。
そして、その背中をちゃんと支えてもらっている感じがあります。
これは、すごく落ち着きます…安心する。
T:もしかしたら今まで、こういう「支えてもらっている」という感覚を、あまり体験したことがなかったのかもしれませんね。
N:そうだと思います。
自分に、「よく頑張ってるね」と言ってあげたい。(涙を流される)
セッションの終わりに
セッションの終わりに、私からNさまへ、「あくまでも可能性ですが、背中の側のバウンダリー(身体的な境界線)が弱い状態があるかもしれませんね」ということをお伝えしました。
Nさまからは、「確かに、背中の方に不安な感じがあるかも…」とのことでした。
今後のセッションでそこを扱ってみても良いかもしれないとご提案をして、この日のセッションを終えました。
そして、この次のセッションの時に、Nさまから以下のようなお話がありました。
前回のセッションで感じた、腎臓タッチによる「背中を支えてもらっている感覚」を、仕事中などにも感じるようにしています。
それが少し助けになっている感じがあります。
このセッションでは、背中にあった「拠りどころの無い感じ」や不安、焦燥感に、「支えてもらっている感覚」が届き、それが安心感に繋がっていきました。
このように、「頭で考える安心」ではなく、「身体的な感覚としての安心感・安定感」を育んでいくことも、癒しにおける大切な要素のひとつです。
それが大切な理由について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

掲載にあたって「お役に立ちそうなら是非使って頂けたらと思います。」と快諾してくださったNさま。
心から感謝いたします!
この内容は、あくまでもひとつの例です。
セッションのプロセスは、その方の状態やタイミングによって大きく異なります。
身体的アプローチを中心とした神経系の安定化や、潜在意識にある感情や思い込みを見ていくこと、身体に刻まれたトラウマ反応の解放、パーツセラピーなど、その方の状態やテーマに合わせて進めていきます。
セッションの流れは、「こうすればこうなる」といった単純なものではありません。
その場で起きることを丁寧に見ていく中で、結果として自分への深い理解や変容が生まれてきます。











