子どもの頃から生きづらさを感じてきた方へ【発達性トラウマとは】

「発達性トラウマ」とは?

現在、こちらの本の著者であるキャシー・ケイン博士とステファン・テレール博士の「発達性トラウマ」に関するトレーニングを受けています。

レジリエンスを育む―ポリヴェーガル理論による発達性トラウマの治癒

成人期に発症し「ストレス性」「自律神経の問題」「原因がわからない」と言われてきた様々な疾病は、幼児期の心の傷=発達性トラウマが原因だった。愛着の問題となって現れる心の傷=発達性トラウマ生成の仕組みを明らかにし、クライアントの回復=レジリエンスを促進するために臨床家が行う、調整の方法を、神経系の最新メカニズム「ポリヴェーガル理論」をもとに説明した、日本初の解説書!

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おふたりは発達性トラウマ・愛着トラウマの専門家で、臨床家としても40年のキャリアを持つ方々です。
膨大なクライアントと接してきた経験からの深い洞察と愛は本当に素晴らしく、講座の中でも、非常に示唆に富んだ、そして重みのある言葉がたくさん出てきます。

このような偉大な先達の苦労と真摯な探求のおかげで、トラウマというもの、そして人間やそのシステムというものへの理解は、近年大きく進んできたと思います。


さて。
まずは「発達性トラウマとは?」ということですが、専門的な話になるとちょっと複雑なため、超・簡単にざっくりとご説明すると…

発達性トラウマとは、
非常に早期(受胎~4・5歳くらいまで、場合によっては10代までと言われる)の体験や愛着の問題などの逆境体験によって、子どもの脳や神経系の正常な発達が妨げられ、自律神経や免疫システム、ホルモン分泌などの調整不全、鬱や乖離、深い孤独感や自己否定、人間関係の困難、消化器系の不調など、心身の様々な不調となって顕れるもの。

しかしながら、ここでは発達性トラウマについての厳密な詳しい定義をお伝えしたいわけではなく。

先の講座の中で、発達性トラウマとショックトラウマの違いを、とても分かりやすく明確に説明した言葉が出て来たので、それをご紹介したいと思います。

その言葉とは、

発達性トラウマには「ビフォー」も「アフター」も無い

というものです。

どういうことか、ご説明して行きますね^^

ショックトラウマの場合。

ショックトラウマと言われるもの…事故や手術、いじめ、災害など、何らかの大きな出来事(ショック体験)によるトラウマの場合は、そのトラウマの前後、つまり「ビフォー」と「アフター」が存在します。

その出来事の以前は、パーフェクトでは無いにしろ、人生が上手く行っていたと感じる。楽しさや安心感、自分らしさなどを感じていた。
それが、その出来事以降、失われてしまったように感じる。

つまり、その出来事をきっかけにして変わってしまった、という感覚がある。

出来事の「ビフォー」と「アフター」が存在し、基本的に「ビフォー(あの頃)に戻りたい」という欲求がある。

これがショックトラウマです。

そしてこのショックトラウマの場合は、後に述べる「人間としてのシステムのベース(土台)」の安定が、その人の内に存在している傾向が高いと言えます。

トラウマの要因となるような何か具体的な特定の出来事が無かったとしても、「戻りたいあの頃」がその人の中に存在する場合は同様に「人間としてのシステムのベース(土台)」の安定は存在している可能性が高いと言えます。

それに対して複雑性トラウマの場合は、「ビフォーもアフターも無い」という状態です。

発達性トラウマの場合。

発達性トラウマは、人生の非常に早期、思考や認知がまだ発達していない時期に起こるものです。
従って、先ほどのショックトラウマの場合と違い「ビフォー」が存在しないのです。

私のプロフィールの文章の中に、以下のような部分があります。

・ものごころついたころから、生きることへの不安と恐れ、自己否定と孤独感でいっぱいの人生を送る。
・ものごころついた頃からの「灰色の靄の中に居るような、重く、恐れでいっぱいな毎日」は…

大袈裟ではなく、私の感覚としてはこのような状態でした。
そして「なんだか分からないけれども気づいた時には既にこうだった」という感じでした。

原因として、家族関係や親子関係など、思い当たることは確かに存在する。
けれども、何か「これ」という特定の大きな出来事があったわけでもない。
なのにどうして私はこんな状態なんだろう…きっと私はものすごく弱いダメな人間なんだ。

子ども心にも、そんな風に思っていました。

これがまさに「複雑性トラウマ」の状態…つまり「ビフォーが無い状態」と言えます。
自分の中に「戻りたい過去」「かつての良かった頃の状態」が存在しないのです。

この「発達性トラウマには、ビフォーもアフターも存在しない」という言葉は、発達性トラウマとショックトラウマの違いを、明確に端的に説明していると思います。

ちなみに、発達性トラウマは、精神的・肉体的な虐待などのトラウマティックな出来事からだけ生じるものではありません。
親が愛情を注いで育てたような場合でも起こり得ます。
たとえば母親が妊娠中に強いストレスを感じているような場合、その母親の神経系やホルモンなどの生理的な状態が胎児に影響を及ぼします。
胎児は母親の心身の状態を生理的・感覚的にダイレクトに感じ取っており、その影響下で脳や神経が発達して行くからです。
母親が強いストレスや不安を感じていた場合などは、胎児の時期からシステム的な防衛は始まっていると言えるのです。

また最近では、研究によって、トラウマは世代間連鎖することもあることが分かって来ています。

発達性トラウマからの回復について。

なぜ今回、発達性トラウマとショックトラウマの違いについてお伝えしているかと言うと…

発達性トラウマとショックトラウマでは、必要なアプローチが違う。

そのことをお伝えしたいためです。

先日、あるクライアントさんがこんな風にお話してくださいました。

1年ほど認知行動療法に取り組んだ経験があるが、「自分の癖を変えて行く」ことについて、頭では十分に理解できるし必要性も分かるのに、でも無理だった。取り組むのが難しかった。
その時に、自分に必要なのはこれ以前のことかもしれないと感じた。

そのクライアントさんは発達性トラウマを抱えていると私は感じています。
そしてご本人が感じていらっしゃる通り、まさに「これ以前のこと」が必要だと私も思うのです。

では、「これ以前のこと」とは、いったいどんなことでしょう?

それは、脳や神経系の状態といった「人間としてのシステム」の、その「ベース(土台)の部分」への働きかけです。

発達性トラウマは、先ほども述べたように、人生の非常に早期、思考や認知がまだ発達していない時期に起こるものです。

そのために、心のこと…感情や人生のストーリー(物語)というよりも、
もっと、神経系や脳の状態といった「人間としてのシステム」の領域の話なのです。


言ってみれば、そのシステムのベース(土台)において、不全や不調性が起きているということです。

ですから、その部分に働きかけて行くことが必要です。

発達性トラウマを持っている人でも、状態はひとりひとり異なっていますし、必要なことも違います。
またほとんどの方が、「人間としてのシステムのベース(土台)」の領域への働きかけだけではなく、やはり心理面(自我の状態)へのアプローチも必要です。
セッションでは、その方に合わせて必要なことを行っていきます。

「人間としてのシステムのベース(土台)」への働きかけとは。

発達性トラウマを抱えている人は、日常生活レベルで既に、脳や神経系といったシステムに非常に大きな負荷がかかっている状態です。
ご本人に自覚は無くても(というか、自覚が無い場合が多いと思います。)、
システムの部分は総力を挙げて頑張っていて、いっぱいいっぱい…というような状態なのです。

ですので、「システムのベース(土台)の部分」への働きかけというのは、
システムの領域の負荷を降ろして行くことであり、自分の内側に「安心や安全の感覚」を培って行くことです。
発達性トラウマの方は、本当の意味での安心や安全の感覚をほとんど感じたことが無い状態と言えます。

この「システムのベース(土台)の部分」への働きかけについて、詳しくは以下の記事をご覧ください↓↓↓

理解していただきたい、もうひとつの大切なこと。

してまた、発達性トラウマについて理解していただきたい、もうひとつの大切なことは、

システムの状態…
つまり脳や神経系の状態が変わって行くのには、時間がかかる

ということです。

発達性トラウマの回復には時間が必要だ
これは講座の中で、講師の2人の博士が何度もおっしゃっていたことでもあります。

これは、分かりやすく例えて言うならば第二外国語の習得のようなものだと思います。
(※発達性トラウマにおいて、システムで起きていることは複雑で外国語の習得ほど単純では無いのですが、分かりやすい例えとして、ということでご了承くださいm(__)m)

大人になってから初めて外国語を習得しようとしたら、半年や1年でペラペラというのは難しいですよね。
ある程度の期間の継続や反復によって脳のシナプスができて、繋がって…ということが必要なわけです。

発達性トラウマからの回復、つまり「システムの部分」が変化していくのも同じことです。
脳や神経系の状態というのは、すぐには変わりません。

第二外国語の習得なら「当然時間がかかるよね」と、みんなすんなり思うけれど、癒しになるとそうはいかないんですよね(^^;)
「そんなに時間がかかるなんて…」と絶望してしまう人もいらっしゃると思います。

でも第二外国語も、習得に時間がかかるからと言って何もしなければ、習得はできないわけで。
時間がかかるとしても、自分が話したり読んだりできるようになりたければ、自分にとって必要ならば、学習するしかない。

とは言え。

「そんなに時間がかかるなんて…」という絶望感、これはよーーーく分かります(T_T)
苦しい状態であるほど、早く楽になることを望むものですよね。
かつての私もそうでした。
だから正直に言えば、10年前、癒しに足を踏み入れた頃の私がこの「システムへの働きかけ」みたいなことを知っても、見向きもしなかったか、取り組んでも早々に挫折していた可能性が高いと思います( ;∀;)

けれどもこの「時間がかかることに耐えられない」という状態も、その人の神経系の状態が、時間がかかることを許容できない…その苦しみを自分の内側に抱えられる神経的なキャパシティが無い状態だから、とも言えるのです。
つまりこれもまた、心の面というよりも、神経系などのシステムの話でもあるということです。

ここでまた、第二外国語の習得を例に挙げますが。
第二外国語も、習得には時間がかかるとは言え、学び始めてからずーっとできない状態、ゼロの状態が続くわけではないですよね。
取り組めば少しずつ理解できるようになる・喋れるようになるわけで、半年続ければ、ペラペラには遠くても、続けたなりの成果はありますよね。

これまた、神経系などのシステムも同じです。
取り組めば少しずつ変わって行く、楽になっていくのです。

癒しにおいて時間がかかるというと、多くの方がどうしても「じゃあ取り組んだとしても、ずーっと苦しいままなんだ…」というイメージを持ちがちではないでしょうか。

でもそうではなく、取り組めば少しずつ変わって行きます。
楽になっていきます。

人生において感じることのできなかった「内側の安心感」を、育んで行くことができるのです。

ですので、生きづらさや苦しみ(苦しみまで行かなくても、ストレスや違和感など)を感じていらっしゃる方には、

「癒しに取り組む価値はあるよ!」と、

自分と、そしてクライアントさんの経験からそうお伝えしたいと思います^^

発達性トラウマで苦しんで来られたクライアントさまからいただいたご感想です。

「発達性トラウマかも…」と思う方へ。

発達性トラウマの人は、癒しに時間がかかることとや、自分にとって必要なアプローチが分かりにくいことから、何らかの癒しに取り組んでもなかなか楽になったと感じられずに、色々な手法を渡り歩く、いわゆるジプシー状態になりがちだと思います。
これまた、私もそうでした(^^;)

ですので、ご自身が「発達性トラウマかも…」と思う方は、
発達性トラウマとはどういう状態なのか、その癒しには何が必要なのかを知っていただきたいと願っています。

専門的な内容になりますが、詳しく知りたい方はこちらの本を読んでみてくださいね^^

レジリエンスを育む―ポリヴェーガル理論による発達性トラウマの治癒

私自身、発達性トラウマや愛着障害について学んだり、身体志向の「人間としてのシステム」の領域に働きかけるようなセッションを受けたりする中で、子どもの頃から疑問だった自分の状態が解き明かされて行くように感じています。

自分に起きていたことや自分の状態について理解できることも、救いや助けになると思います。

もしもこの記事が、あなたがご自身を理解するための何らかの助けになったら嬉しいです^^

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