「ネガティブナルシズム」とは…その②~今まで何をやっても楽にならなかったあなたへ~

ご感想

ひとつ前のこちらの記事の続きです。

「ネガティブ・ナルシズム」(通称「ネガナル」)とは:
溝口あゆかさん提唱の「インテグレイテッド心理学」の中で定義されている心理状態。
ネガティブな思いにすっかり同化し、それがアイデンティティとなってしまっており、絶え間なく自分否定、自分批判をしている状態。
そのために、カウンセリングやセラピーなど、「何をやっても楽にならない」と感じている方が多い。

「ネガティブ・ナルシズム」チェックテスト

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目次

なぜ「ネガティブ・ナルシズム」状態の人は何をやっても楽にならないのか

なぜ「ネガティブ”ナルシズム”」という名称なのか?

なぜ、「ネガティブ・ナルシズム」状態の人は、何をやっても楽にならないのか?

その前に。(すみませんあせる

「ナルシズム」って、「自己陶酔」とか「自分大好きドキドキ」っていうイメージですよね?

なぜ「ネガティブ・ナルシズム」という名称なのでしょうか?

ネガティブな自分を大好きってこと??ガーン

ひとつ前の記事で、

「ネガティブ・ナルシズム」(以下、「ネガナル」)は、

ネガティブな思いに、完全に【同化】しているために、
(つまり、「ネガティブな思い」=「自分自身」となっているために、)

自分自身についての客観性が、まったくありません。
客観性ゼロの状態です。

と書きました。

これが「ナルシズム」という名称の所以です。
その「客観性ゼロ」の状態が、ナルシズムの「自己陶酔」的であるわけです。

自分自身についてのネガティブな思い(自己像・セルフイメージ)しか見えていない

ということです。

そして、「ネガナル」状態の人は、自覚がある・無しの違いはありますが、

実は、「どこかで、不幸な自分に酔っている」

ということも多いのです。
(※「ネガナル」状態の方すべてに当てはまる訳ではありません。)

また、「ネガナル」状態の人は、

苦しみが大きいため、
自分の苦しみばかりに意識が行ってしまい、他の人に意識が向きにくい。

という特徴もあり、そこもまた、ナルシズム的なところです。

例えば、人と話をしていても、
「自分はどう思われるだろうか」ということばかりに意識が向いてしまい、
「相手はどういう人だろう」と、相手に関心が向かない、という感じ。

乱暴な言い方になりますが、端的に言うと、

「自分のことにしか関心が向かない状態」です。

けれどもそれは、「自分が好きだから」とかそういうことではなく、
苦しみの大きさ故
なのです。

「ネガナル」の人の自己価値は、極端に低い状態

「ネガナル」の人の自己価値は、極端に低い状態です。

ネガティブな思い(自己像・セルフイメージ)に完全に同化して、
心の底から「私はダメだ」と思っており、絶えず自己否定をしている状態なのですから、
自己価値は低くて当然です。

違う表現をすると、

自己価値が非常に低く、ぐるぐると、自己否定の考え(思考)が止まらない状態
ネガティブな思考の渦に、常に飲み込まれている状態

とも言えます。

ネガティブな思考の渦に飲み込まれて自分自身のことにしか意識が向かなくなってしまうのです。

ですので、この情報は、

「なるほど、自分はそういう状態なのか」と、ご自身を理解するために使っていただきたいと思います。

どうか、そういうご自身のことを、更に責めたりしないでくださいね。

何をやっても楽にならない理由は、「同化」と「自己陶酔的」

前置きが長くなりましたあせる
ここから、なぜ「ネガナル」状態の人は、何をやっても楽にならないのか?をお伝えして行きます。

それは、今までお伝えしてきた
「同化」と、「自己陶酔的」ということと関りがあります

なぜ何をやっても楽にならないのか…ひとつ目の理由。

まず、「何をやっても楽にならない」理由のひとつめです。

先の記事で、ネガナル状態の人についてこう書きました。

全力で、100%どころではなく、1,000%くらいのパワーで、
「これが私だ!!!!!」
と、信じ切っている状態。

この「1,000%くらいのパワーで」ということ、
つまり、心の底から「私はこういう人間だ」と信じ切っている状態、

その信じている強さ・深さが、様々なセラピーやツールを受け付けない

というようなことが起こるのです。

この「受け付けない」という状態は、例えると、

固い鉄のカタマリを木の棒で削ろうとするようなもの

と言えば、少し伝わりますでしょうか。

なぜ何をやっても楽にならないのか…ふたつ目の理由

ふたつめの理由は、ひとつめの理由とほぼ同じではありますが、

ネガナル状態の人は、
その「ネガティブな(ダメな)自分」が、自己のアイデンティティとなってしまっている

ことです。

「アイデンティティ(identity)」は、「自我同一性」や「自己同一性」と訳されますが、
「ネガティブな自分」が自己のアイデンティティとなっているというのは、どういう状態かを簡単に言うと、

「このネガティブな(ダメな)自分こそが、自分自身であるという状態です。

けれども、これは無意識のレベルで感じていることであり、
普通は、自分がこんな風に感じていることには、まったく気付いていません。

自分のアイデンティティになっている、ということは、

「それが無くなったら、自分ではなくなってしまう」と感じている

ということなのです。

人間の心は、アイデンティティを失うことに、大きな恐怖を感じます
自分が消えてしまうように感じるからです。

アイデンティティを失うとは、自分が自分として存在する基盤が崩れてしまうことだからです。

そのため、
いくら頭では、「こんな自分はイヤだ!変わりたい!!」と思っていても、

心の深いレベルでは、「ネガティブな(ダメな)自分を手放したくない」と思っている

そういうことが起きているということになります。

冗談じゃない!!
私は心底、こんな自分がイヤなんだ!!

手放せるものなら手放したい。
手放したくないなんて、そんなこと1ミリも思っていない!!

そう思われるかもしれませんし、そう思われるのは当然ですしょぼん

だって、ネガナル状態の方は、

このネガティブな(ダメな)自分のせいで苦しいんだ!!
どうにかして変わりたいんだ!!

と、苦しんでいらっしゃるのですから。。。

ですので、先ほどお伝えしたように、どうぞ、
「なるほど、自分はそういう状態なのか」と、ご自身を理解するための情報のひとつとして読んでいただければと思います。

苦しくて苦しくて、何とか変わりたいと心の底から思っているのに、、、

ネガナル状態の、あるクライアントさん(Aさん)とのセッションでのこと。
(ご本人に掲載の許可をいただいております。)

セラピーをしていると、その方が一番否定しているご自身のイメージ(インナーチャイルドのようなもの)が出てきました。

そのイメージは、こんな風に語ったのです。

ここがどんなに苦しくても、私は、この場所しか知らない。

だから、どんなに苦しくても、絶対に絶対に、私はここから動かない!!!
私を楽にさせてやらない!!!

・・・書いていて、ちょっと涙が滲みます。

これが、「ネガティブナルシズム」(ネガナル)なのです。

苦しくて苦しくて、何とか変わりたいと心の底から思っているのに、
心の深いレベル(潜在意識)では、「絶対に変わるもんか」と思ってしまっている。。。

これが、ネガナル状態の人が、何をやっても楽にならない理由です。

ちなみにそのクライアントさんは、「絶対にここを動かない!」と言っているそのイメージが出て来て、

「なんでそんなこと言うの!?」
「そんなこと言ってたら変われないじゃないか!!」

と、ショックを受けていらっしゃいました。

そう思われるのは当然だし、とてもよく分かります。

でも実は、それだけ健気に、必死に、自分を守ろうとしているということなんです。

これは理想論でも何てもなく、真実です。
心理セラピーで心の深層を見つめて行く中で、ご自身でそれを体験していただくことができると思います。

なぜ何をやっても楽にならないのか…3つめの理由。

そして3つめの理由。

この「3つめの理由」は、この記事を書いた2018年時点では私が認識していなかったことです。
2021年の時点で、当初より自分自身の癒しや理解が深まったことにより、この「3つめの理由」が見えてきました。

ネガナル状態の人は、生まれつきエネルギーに敏感な方が多く、
さらに、愛着の傷を抱えている方がほとんどだと感じています。

どういうことかと言うと、

そういった要因によって、自律神経系が非常に未成熟だったり不調性な状態である

その可能性が高いということです。

自律神経系が未成熟だったり不調性だったりすると、どういうことが起こり得るかと言うと・・・

  • 孤独感が強い。
  • 人との繋がりや温かさを感じられない。
  • 人と親密になることを避ける。
  • 人との繋がりを求めるが、上手く関わることができない。
  • 感情や気分の波が激しい。
  • 怒りが抑えられない。
  • 落ち込みやすい。
  • 人や世界が怖く感じる。
  • 安心感が感じられない。
  • 疲れて引きこもりがちになる。
  • 自分が好きになれない。

などなど・・・こうした状態になりやすかったりします。

これらは「心の問題」と考えがちですし、もちろんそれは確かなのですが、
実は、自律神経系の状態も深く関わっていることが分かって来ています。

私自身が、この自律神経系の状態に注目し、その調整に取り組むことで、大きく変化しました。
そのため、ネガナル状態の方にはぜひこのことを知っていただきたいと思うのです。

詳しくは、この続きの「ネガティブ・ナルシズムから楽になるために」のシリーズでお伝えしますね。

ネガナル状態の人が楽にならない理由、セラピーなどの効果が出にくい理由については、他にも要因があるのですが、かなり専門的な話になるためここではお伝えしません。

ネガナル状態から脱するのは、不可能ではない。

さて。
「なぜネガナル状態の人は、何をやっても楽にならないのか?」その理由をお伝えしてきましたが。

じゃあ「ネガティブ・ナルシズム」(ネガナル)状態の人は、諦めるしか無いのでしょうか…?

いいえ。
楽になるための方法はあります。

私自身、ネガナルの状態から、今はかなり楽になっています。

また、セラピスト仲間にもネガナル状態の人は少なからずいますが、みんな、それぞれのペースで、本来の自分らしさを取り戻し、楽になって行っています。

正直に申し上げて、
ネガナル状態から脱するには、それなりの時間がかかります。

楽になったと感じられるまで、
それなりの時間や、セッションの回数がかかるということをご理解いただきたいと思います。

けれども、決して不可能なことではありません。
必ず、少しずつ楽になっていくことはできるのです。

先にご紹介したクライアントのAさんからも、その後、継続してセッションを受けていただく中で、
訳もわからず自分を責め続けてたころに比べると、今、楽になってきたのを実感できます。」というご感想と、
「大嫌いな自分をどうやって愛するのだと、叫びたいあなたへ」と、同じように苦しんでいる方へ向けてメッセージをいただきました。

癒しに、楽になるまでに時間がかかるのは、ネガナルに限ったことではありません。
クライアントの方は皆さん、それぞれの苦しみを抱えながら癒しに取り組んでいらっしゃいます。

諦めずに、時には休んだりもしながら癒しに取り組んで行くことで、
必ず楽になっていくことはできます。

ご自身の内なる「いのち」や「智慧」を信頼していただきたいと思うのです。

では次からは、「どうやったら楽になって行けるのか?」をお伝えして行きますね。

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