私は過去に、1年にわたって心療内科で傾聴カウンセリングを受けた経験があります。
けれども当時は、それによって苦しみが楽になった実感はありませんでした。
その経験を経て心理セラピー(心理療法)に出会いました。
そして、セラピーに取り組む中で、自分自身が変化していくのを実感することができました。
「心理カウンセリング」という言葉は、比較的なじみがあって、イメージが浮かびやすいと思います。
でも、「心理セラピー」や「心理療法」と聞くと、どうでしょうか?
なんとなくわかるようで、実はよくわからない…そんな方が多いのではないかと思います。
実際、「心理セラピー(心理療法)」って、すごく言葉で説明するのが難しいものなのですが😂
今日は、その実態が掴みにくい「心理セラピー(心理療法)」というものを、私の体験から紐解いてみたいと思います。
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私と「心理セラピー(心理療法)」の出会い
私が心理セラピー(心理療法)に出会ったのは、「どうしたらこの苦しみが変わるのか」と彷徨っていた頃でした。
当時の私は、鬱状態と診断され、中学生の時から15年以上続く摂食障害にも苦しんでいました。
心療内科で傾聴型のカウンセリングを1年間受け続けましたが、当時の私にとっては、苦しみが楽になる感覚はありませんでした。
話を聴いてもらい、苦しみを吐き出すことで、少し楽にはなる。
また、自分の人生を振り返ったり、考えが整理されたりといった意味で、役に立つ部分もありました。
けれども、苦しみそのものは変わらず、解決に繋がっている実感も持てませんでした。
そのような状態の中、「カウンセリングを受けても変わらないのなら、一生苦しいままでいるしかないのか…」と思っていました。
そんな時に出会ったのが、心理セラピー(心理療法)でした。
「なぜ食べてしまうのか」その理由が見えた日
心理セラピーに出会って間もない頃の、摂食障害をテーマにしたセッションのことは、今でもよく覚えています。
セラピーで、食べたくなる衝動を見て行った時のこと。
その衝動が起こる直前に、自分の身体に何が起きているのかを探っていったとき、
そこには、全身が冷たく空っぽになったかのような、ものすごい空虚感、虚しさがありました。
その感覚は、私にとって、幼い頃から馴染み深いものでした。
けれども、なじみ深いものであるのと同時に、
食べたくなる衝動に襲われている時に、その空っぽさ・空虚感が存在していることには、まったく気づいていませんでした。
これが、無意識の本当に不思議なところ。
まさに「無意識」なのです。
「自分の中で何が起きているのか」に触れていくプロセス
私は、自分ではまったく気づいていなかったけれど、
その圧倒的な空っぽさを紛らわせるために、詰め込むように食べて感覚を麻痺させていたのだと、「自分の中で何が起きているのか」が、はじめて実感をともなって見えたのです。
その1回のセッションで、摂食障害がすぐに変化したわけではありません。
けれども、自分の中で何が起きているのかを、自分自身の身をもって理解できたこと。
それは、1年間のカウンセリングでは得られなかった体験でした。
言葉にするならば、
自分の苦しみの”本当の原因”に初めて触れることができた、驚きと感動をともなった体験
とでも言えばいいでしょうか。
まさにこの、「体験を通して自分の真実に触れ、自分を知っていくこと」こそが、
私自身、そして多くのクライアントさまも「面白い」と感じるところです。
クライアントさまからはこんなお声をいただきます。
(実際のセッションでのクライアントさまの言葉です。)
「この自分の本当の気持ちを知らないまま死ななくて、本当に良かった。」
「自分を知るって、こんなに面白いことなんですね!私にとって一番面白いことかもしれない。」
「残りの人生、できる限りこうやって自分の深いところを知って行きたい。」
セラピーの中で「自分で見つけた理解や意味」が生まれるとき、
それは驚きや感動をともなう、とてもパワフルな体験になります。
人は、分析や外からのアドバイスよりも、「自分の内側から生まれた発見」の方が、本質的な変化に繋がることが多くあります。
「自分で見つけた理解や意味」は、「自分のもの」として統合されやすいのです。
自分がまったく気づいていない無意識の領域で、何が起きているのか。
「苦しみの本当の原因」を自分自身で知ることができ、そして、それを癒し、変容させていくことのできる心理セラピーは、私にとって本当に救いになりました。
そして、そのプロセスの中で、
単に苦しみが楽になるだけではなく、自然と、自分への深い理解や優しい目線が育まれていきました。
もし心理セラピーに出会わなかったら、私は今も苦しみの真っただ中で生きていたと思います。
摂食障害は、セラピーに取り組み続ける中で少しずつ改善していきました。
そして数年後には、症状は出なくなりました。
言葉だけのカウンセリングや認知からのアプローチで変化が感じられない場合、
それは意思や努力の問題ではなく、こうした無意識や身体レベルにある「そこで起きていること」「本当の原因」に触れられていないという可能性があります。
※なお、すべての心理セラピーがこうしたアプローチをとるわけではありません。
セラピーを受けてみようと思われる時は、事前にどのようなものかを確認してみてくださいね。
カウンセリングとセラピーは、何が違うのか
こうした体験から、私はカウンセリングと心理セラピーの違いを、身をもって理解しました。
カウンセリングは、話を聴いてもらい、気持ちを整理したり、自分の思考の癖に気づいたり、アドバイスをもらったりするもの。
そのことにもとても価値がありますし、私もセッションでそれを行うこともあります。
けれども、心理セラピー(心理療法)は、それとは異なります。
心の奥にある無意識のパターンや反応に直接アプローチし、変容を促していくもの。
その人の心と身体で実際に何が起きているのかを探り、そこに働きかけていくものです。
少し極端な例えではありますが、
カウンセリングが「問診」や「相談」のようなものだとすれば、
心理療法は、「患部の手術」のようなもの。
どちらが優れているという話ではなく、目的と役割が違うのです。
心理セラピストは「職人」です。
私自身が学びと実践を重ねる中で、「心理セラピストって”職人”だよなあ」と感じるようになっていきました。
心理セラピーは、クライアントさまの語る内容だけではなく、
「その人の中で、実際に何が起きているのか」を見ながら関わっていきます。
どの領域に働きかけるかや、その方法はセラピーの種類によって異なりますが、
いずれにしても、言語での領域だけにとどまらないアプローチです。
世の中にはさまざまな心理療法・セラピーが存在しますが、基本的に、専門的な知識だけではなく、実際の体験を通して身につけていく技能が求められます。
学んで終わりではなく、実践を積み重ねる中で少しずつ磨かれていく—まさにそんな職人的な世界です。
たとえば、私がプラクティショナー資格を持つソマティック・エクスペリエンシング®というトラウマ療法は、44か国に6万人以上のプラクティショナーがいますが、
3年間のトレーニングと一定の条件をクリアすることで、ようやくプラクティショナーとなることができます。
ただし、注意も必要です。
残念ながら、「心理セラピー」「心理療法」を名乗るものがすべて信頼できるわけではありません。
研究や臨床の積み重ねによって効果が確認され、体系的な訓練の仕組みが整っている信頼性の高いものもあれば、そういった裏付けや訓練体系の無いものも、世の中には存在します。
後者は、十分な訓練を受けていない人に手術を任せるようなもの。
心を扱う仕事だからこそ、受ける側もある程度、選ぶ目を持つことが大切だと思っています。
良いセラピストを選ぶ、3つの基準
では、どういう基準でセラピストを選べば良いのでしょうか。
私が特に大切だと思うのは、この3つです。
① しっかりしたトレーニングを積んでいること
正直なところ、「トレーニングを積んでさえいれば良いセラピストだ」と言えるわけではないのが難しいところではありますが、
どんな心理療法を、どのくらいの期間・深さで学んできたか、体系的なトレーニングを経ているかどうかは、大きな指標のひとつと言えるでしょう。
② 自分自身の癒しに取り組んでいること
そもそも、「セラピスト自身が癒されたところまでしか、クライアントをサポートできない」と言われます。
また、セラピスト自身の心の傷や課題と向き合っていないと、それがセッションにも影響します。
自らの癒しの旅を続けていること。個人的には、これがもっともセラピストとして大切な要件だと思っています。
③ 学び続けていること
職人と同じで、技能は一度習得したら終わりではありません。
研鑽を続けているかどうかも、信頼の大きなサインです。
終わりに
かつての私のように、「カウンセリングで話を聴いてもらっても何も変わらない」と感じている方がいたら、お伝えしたいことがあります。
それは、「変わらないのは、もしかするとアプローチが合っていないだけかもしれない」ということです。
人それぞれ、その人に必要なアプローチは異なります。
心理セラピーは、「自分の中に何が起きているのか」に実際に触れ、癒していくもの。
私にとって心理セラピーとの出会いは、人生の大きな転機になりました。
あなたにとって必要な出会いが、適切なタイミングで訪れますように。











