感情を感じ切っても変わらない本当の理由|重要な「落とし穴」とは【感じ切っても変わらない人へ②】

感情を感じ切れば消える」と聞いて向き合っているのに、

なぜか楽にならない。
むしろ、頑張るほど苦しくなる…。

そんな風に行き詰まっていませんか?

「感情を感じ切る」という手法には、実は、【落とし穴】とも言える重要な注意点があります。

「感情を感じ切る」が上手く行かないのは、

あなたがおかしいからとか、

やり方が間違っているとかではなく、

この【落とし穴】、

つまり心と身体の「仕組み」が関係しているかもしれないのです。

「感情を感じ切っても変化がない」「苦しくなってしまう」という方に知ってほしい「心身の仕組み」を、身体心理セラピストの視点から解説します。

🌱この記事は、こんな方に向けて書いています

  • 「感情を感じ切る」をやっても消えない。変化を感じない。
  • 「感情を感じ切る」のが苦しいあるいは難しい。
  • 恐怖や不安などの感情を感じるのが怖い。
  • 癒しに取り組んいるのに、逆にしんどくなってしまう。
  • 自分はもしかして「発達性トラウマ」かもしれないと思う。
目次

「感情は感じ切れば消える」の落とし穴とは。

「感情を感じ切る」をテーマにお届けしているシリーズ第2弾。

感情は、感じ切れば消える・変化する・癒される」とよく言われますが、果たして本当にそうなのでしょうか?

前回の記事で、「感じ切っても癒しや変容に繋がらない」理由として、次の2つを挙げました。

  • 「表層の感情」だけを感じ切ろうとしている場合
  • 「キャパシティ(今の自分が安全に処理できる範囲)」を超えてしまっている場合

今回は、もう一つの、そして最も重要と言ってもいい理由

「キャパシティ(心身が安全に処理できる範囲)」を超えてしまっている場合

について、詳しくお話ししていきます。

これは、感情やトラウマと向き合ううえでぜひ知って欲しい「心と身体の仕組みです。

「感じ切っているつもりだけれど、変化が感じられない…」
「感情と向き合っても変わらない…」
「やればやるほど、苦しくなってしまう…」

そんな方にこそ知っていただきたい、大切な内容です。

感情を感じ切っても癒されない理由②
「キャパシティ(安全に処理できる範囲)」を超えている場合。

感情や感覚が、その人の「自律神経系などの身体的・生理的なキャパシティ内

いわば「圧倒されずに、安全に処理できる範囲内」にある場合

確かに、「感じ切れば消える・流れていく」ということは起こります。

キャパシティを超えた感情に向き合うとどうなる?

しかしながら、ここが知っていただきたい重要なポイントなのですが、

キャパシティを大きく超えた強い感情や感覚は、
ただ感じ切ろうとするだけでは、癒しや変容には繋がりません

このことを、あるトラウマ療法の講座でアメリカ人の講師がこんな言葉で表現していました。

「その感情や感覚に圧倒されているとき、つまりキャパシティを大きく超えている時には、癒しは起こらない。」

この言葉を聞いた時、とても分かりやすい表現だなあ!と思いました。

これが、私たち人間の「仕組み」です。

この「仕組み」を無視して頑張り続けても、なかなか変化を感じられなかったり、かえって苦しみが増してしまう可能性すらあるのです。

もちろん、”「仕組み」に則ってさえいれば必ず100%効果を感じられる”とまでは言えませんが、再現性が高いことは事実です。

「キャパシティ(耐性領域)」とは?

ここで言う「キャパシティ(処理できる範囲)」とは

性格的なものや、

人格的な「懐の大きさ」などではなく、

自律神経系などの「身体的・生理的レベルでのキャパシティ(許容量)」

のことを指します。

これは、いわば「心身の土台」のようなものであり、

その人の「自律神経系の状態」と深く関わっています。

このキャパシティのことを、専門的な用語では「耐性領域(耐性の窓)」と言います。

キャパシティの大きさは人それぞれ。

このキャパシティの大きさは、人によって異なります。

生まれ育った環境、

特に幼少期の養育環境に大きく影響を受けるためです。

胎児期~3歳頃までに安定した愛着を築けた人は、キャパシティ(心身の土台)が大きく、安定している傾向があります。

一方で、トラウマを抱えている人は、このキャパシティが小さいことが多く、

特に発達性トラウマ(幼少期のトラウマ)を持つ人は、ほぼ間違いなく「非常に小さい」傾向があります

その小さなキャパシティで、強い感情や感覚を「感じ切ろう」と頑張ると、どうなるでしょうか。
多くの場合、キャパシティオーバーを起こしてしまいます。

すると、感じ切るどころか、

かえって圧倒されてしまい、逆に苦しみが増してしまうことにもなりかねないのです。

キャパシティが小さいと、どうなるのか?

例えば、水を汲む器でイメージしてみてください。

🔹器( キャパシティ)が大きい

⇒大量の水(感情)を受け止められる

🔹器(キャパシティ)が小さい

⇒すぐに溢れてしまう(圧倒されてしまう)

もし、おちょこのような小さな器に、バケツ一杯の水を一気に注いだらどうなるでしょう?

当然、溢れてこぼれてしまいますよね。

これは、私たちの心や身体が感情や感覚を処理する仕組みとよく似ています。

このように、器(キャパシティ)が小さい状態で、自分の許容量を大きく上回る感情について、

感じ切ればいいんだ!」と一生懸命に感じると、溢れて(=圧倒されて)しまいます

これは癒しではなく、「トラウマの再体験」となってしまう可能性があります。

これでは、癒しに取り組んでいるつもりが、

逆に苦しみを強めたり、トラウマを強化してしまうことにも繋がりかねないのです。

苦しくならずに「安全に感情を感じる」ための2つのポイント

安全に感情を感じるために、そして、癒しや変容のために大切なのは、次の2つです。

  • キャパシティを大きく超えない「大丈夫な範囲」で、少しずつ向き合っていくこと。
  • キャパシティそのものを少しずつ育てていくこと

この2つは、どちらも欠かせない大切なポイントです。

そしてさらに、とても大切な前提があります。

「精神論」ではなく「神経系」の問題

そしてさらに、知っていただきたい、とても重要なことがあります。

それは、

この「キャパシティ(=耐性領域)」は、

単なる「気持の持ちよう」や「意識の持ちよう」などの”精神論”ではないということ。

先にもお伝えしたように、キャパシティ(=耐性領域)」とは、

「自律神経系などの身体的・生理的な領域」の話です。

自律神経系などの「身体的・生理的な領域で受け入れが起きている」とき、

つまりは「圧倒されていない」ときに、癒しや変容が起きてきます。

もう少し詳しく言うと、

いくら頭の思考やマインドの領域で、「この感情を感じ切ろう」「抵抗せずに受け入れよう」と頑張っても

身体的・生理的なレベルで「圧倒された状態」のとき、

つまり身体(神経系)にとって「キャパオーバー」の状態であれば、癒しや変容には繋がりにくいのです。

ですから、「感情を感じるのが辛い」「なんだか圧倒されているかも…」と感じるときには、

無理に感情に向き合うのではなく、

まず、身体的・生理的な領域(=神経系)にアプローチして、器(キャパシティ)を育んでいくことが大切になります。

私自身もかつてこのことを知らずに、「感じ切れば変わるはず」と何度も頑張って感情と向き合い、なのに変わらない…と苦しんだ時期がありました。

また、「これまで色々な癒しに取り組んできたけれど、楽にならない…」とおっしゃるクライアントさんの背景に、この「キャパシティ(器)」の問題が存在していることが非常に多いと感じています

これは、癒しにおいて非常に大切なポイントだと思いますし、多くの方に知っていただけたらと願っています

この「身体的・生理的なレベルのこと」に取り組むことの重要性を、次でもう少し詳しく見て行きましょう。

ストレスや苦しみの原因は「感情」だけではない

私たちが「つらい」と感じるとき、実際に強く自覚されるのは感情です

そのため、どうしても感情や思考に注目しがちになります

けれども、ストレスや苦しみ、そしてトラウマに関わっているのは、感情だけではありません。

その背景には、

🌿自律神経系の反応パターン

🌿何を「安全/危険」とみなすかという無意識の判断(意識以前の評価システム)と、それに伴う生理状態

🌿呼吸、筋肉や筋膜の収縮・緊張などの身体の状態

などといった要素が存在しています。

これは、

「身体や神経系に学習された反応のクセ」

「過去の経験をもとに形成された、無意識の予測システム」

とも言えます。

ストレスや苦しみの原因というのは、こうした要素が重なり合って成り立っているのです。

そして、それらは相互に影響し合っています。

感情を感じ切ろうとしたり、感情だけを癒そうとしたとしても、

この「身体の反応パターン」が変わらなければ、変化は限定的になりがちです。

逆に言えば、自律神経系の状態や、身体に刻まれた緊張・反応のクセに丁寧にアプローチしていくことが、根本的な癒しへの近道となるのです。

当方のセッションでは、感情や心の構造を見ていくことだけではなく、こうした「自律神経系や身体の状態」にアプローチすることを何より大切にしています。

安全に癒しを進めるために

ここまでの話をまとめてみましょう。

安全に感情を感じ、癒しを進めるため大切な2つの要素として、

  • キャパシティを大きく超えない「大丈夫な範囲」で、少しずつ向き合っていくこと。
  • 安心感を育て、キャパシティ(器)そのものを少しずつ広げていくこと。

をお伝えしました。

「これまで色々な癒しに取り組んできたけれど、楽にならない…」

そう感じている方の多くに、この「キャパシティ」の問題にあるように感じています。

そのような経験をされている方が、この「仕組み」を知ることで、少しでも楽になっていただけたらと願います。

さて、次回は「感情を感じ切る」のシリーズ第3弾!

「感情を感じ切る」がうまくいかない理由としてよく言われる、「抵抗」の正体について見て行きます^^

ここまで読んでくださったあなたは、
すでに、ご自身と向き合うことをされてきた方ではないかと思います。

けれども、

  • 思うような変化を感じられない。
  • 学んできた知識と体験が結びつかない。
  • 手ごたえの薄さや行き詰まり感がある。
  • 楽にはなってきたけれど、根本が変わった感じがしない…。

もしもそのような感覚をお持ちであれば、
今まで取り組んできた方法では届かないところに、その原因があるのかもしれません。

この記事を読んで、

「今まで楽にならなかった理由が分かった気がする」

「これが原因だったのかもしれない」

そう感じられる場合は、当方のセッションがお役に立つかもしれません。

サポートが欲しいと思われる場合は、どうぞご活用ください。

あなたご自身の確かな体験としての、癒しと変容のプロセスをお手伝いをさせていただきます。

また、これまで癒しに取り組んだことが無く、
「自分を癒したい気持ちはあるけれど、具体的にどうすればよいか分からない
という方にとっても、セッションはひとつの入り口になるかもしれません。

ご一緒に取り組んでいきましょう^^

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