「野良セラピスト」の私が心理学部に行かなかった理由。

「野良セラピスト」ですが^^

心理系のトレーニングなどの場で、自己紹介のときに「野良セラピストです」と言うことがあります。
トレーニングの参加者には、公的な資格(医師や臨床心理・公認心理士)を持っている方が多くいらっしゃいます。
私は2025年1月の現時点でそうした公的な資格は持っていないので、その意味で「野良セラピスト」(笑)と名乗ったりするわけです。

自分を卑下しているわけではありません^^

大学で心理学を修めていないので、専門用語も分からなければ心理テストもできない。

自分が衝撃を受けた師との出会いから心理セラピーを学び始めて、ひたすら自分の苦しみをどうにかするために、学び、実践(自分を使っての人体実験)をしてきた。
自分が心理セラピストになるだなんて想像もしていませんでした。

そういう意味の「野良セラピスト」です。笑

公的な資格が無いとはいえ、様々なトラウマ関連のトレーニングを修了しています。
心理セラピストとして最初に取得した資格は、ロンドンのHolistic Healing Collegeのディプロマでした。
その後も様々なトレーニングを積み、直近ではブログでもご紹介したようにソマティック・エクスペリエンス(Somatic Experiencing®︎)のプラクティショナーになりました。

私は物心ついた頃から苦しかったので、心理学にものすごく関心がありました。
けれども大学進学にあたって心理学部は選択しませんでした。
そのきっかけとなる出来事があったのですが、今回は、思い出話みたいになりますが、それについて書いてみようかなと思います^^

私が心理学部に進学しなかった理由。

中学生から高校生時代にかけて、苦しみゆえに心理学に惹かれて色々と本を読んだりしましたが、当時の私は、自分の状態を知ったり、助けになるような本に出合うことはできませんでした。
アダルトチルドレンについての本など、すごく納得はするものの、心理的に見動きが取れず追い詰められたような状態だった当時の私には、回復のイメージがまったく描けませんでした。

それでも高校時代に漠然と大学進学について考えるようになると、心理学部は当然のように希望学部の候補になりました。

でも実際には心理学部には進みませんでした。
それは、心理学というもへの希望を失ったためでした。

私は中学生の頃に摂食障害になりました。
親のことはまったく信頼していなかったので、親には話さず、とにかくバレないように隠していました。
摂食障害が始まった当初は拒食でしたが、ほどなく過食嘔吐に移行したために隠すことができていました。(と自分では思っていました。親も何も言わなかったので。)

けれども高校生のある時に、母親にバレてしまった。
記憶がありませんが、恐らく現場を見られてしまったのだと思います。

誤魔化しましたが、母も何となく気付いていた部分があったのかもしれません。
そのあたりもまったく記憶に無いのですが、知人の紹介状をもらって大学病院の精神科に行くことになりました。

過食嘔吐は、私にとってものすごく苦しいものでした。
とんでもない量を食べずにいられない。ダメだと思うのに止めることができない。
そして食べてしまった後の激しい後悔と自責。
自分をボロ雑巾のように価値も意味も無い存在だと感じていました。
なんとか止めたかったし救われたかったけれど、この症状や私の苦しみが精神科に行ったところで治るわけがないと、どこかでそう思っていました。

親にバレて精神科に行くことになり、「面倒なことになった。なんでバレるような行動をしたんだろう。」と自分を呪いましたが、
でも同時に、どこかでほっとした感じ…もしかしたら救われるかもしれないというわずかな希望も持っていたことを覚えています。

そして診察の日。

精神科はものすごく混んでいて、3時間くらい待っていたような記憶があります。
ついに名前を呼ばれて診察室に入ると、そこには60代くらいの男性の医師がいました。

何を話せばいいのか、何を訊かれるんだろうとドキドキしていましたが、
その医師はカルテを見ながら、

「薬を出すので飲むように」というような言葉を言って、

それで診察は終了でした。

診察で私はひとことも言葉を発しませんでした。
何も訊かれなかったし、医師と目さえ合わなかった。
その診察の場面ことはよく覚えています。

待合室に戻って、笑い出したいような気持ちでした。
薬なんかで治るわけがないじゃん。
私、ひとことも話して無いよね?それで何が分かるの。

結局こんなもんか、やっぱりダメじゃないか。
どこかにあった「もしかしたら」という淡い期待は消え去りました。

その精神科に行ったのは一度きりでした。

摂食障害はその後も30歳過ぎまで続きました。
そして2010年に溝口あゆかさんに出会い、心理セラピーを学んで実践していく中でまったく症状は無くなりました。

「資格そのもの」ではなく、その人自身であり、その姿勢や在り方

そんな経験がありましたが、精神科や精神医療を否定するものではありません。
これは単に私がそういう経験をしたという、それだけの話です^^
今は、あの待合室に溢れかえる患者を思うと、医師(病院)の側にも事情があったかもしれないと思いますし、これは医療業界全体の問題でもあるとも思います。
(でもやっぱり、目も合わせないのはひどいよねとは思います。笑)

その一方で、これまでに参加した様々なトレーニングで、素晴らしい精神科医や心理士の方々にお会いしました。
そうしたトレーニングには、真摯に患者さんやクライアントさんと向き合い、勉強熱心で様々な療法を学び、そしてご自身でもセラピーやセッションを受けて自分のテーマに取り組んでいる…そんな素晴らしいお医者さんや心理士さんがたくさんいらっしゃいました。
そういう方々が精神医療やサポートの現場にいてくださることは本当にありがたいことだと、いつも心から敬意と感謝を感じます。

そういう方々が素晴らしいのは、「資格そのもの」ではなく、その人自身であり、その姿勢や在り方です。

私は心理学部に進まなかったことを後悔はしていませんが、いま振り返ると、もしかしたら、ちょっと「逃げ」もあったのかもしれないなあと思います。
だから、大学で真摯に心理学を学んでいる方を素晴らしいと思います。

大学を卒業して就職して鬱になって、そこから縁に恵まれて心理セラピーを学び始めて、とにかくこの苦しみをどうにかしたいと自分のために学び実践をしてきました。
心理セラピストになることを目指していたわけではなかったけれど、人生の流れもあって、心理セラピストが仕事になりました。
結果的に自分がもっとも関心があることが仕事になったわけで(放っておいてもそのことしか考えていない。笑)、それは本当にありがたいことです。

これから何か公的な資格を取るかもしれないし、取らないかもしれない。
でもどっちにしろ、自分の尽きない「自分や人間というもの」への興味と探求心のまま、今後も研鑽とトレーニングを積んでいくと思います^^

資格はカウンセラーやセラピストを選ぶうえでの目安になる。でももっと大事なのは…

さて、ここからは「自分に合ったカウンセラーやセラピストを選ぶには」という話をしたいと思います。

心理業界に限らずどの分野でも、資格はもちろん一定の基準を満たしていることを(ある程度は)担保するものであり、カウンセラーやセラピストを選ぶうえでもひとつの大切な目安になります。
どんな資格を持っているか、どんなトレーニングを修了しているかを見ることが選択の助けになることは間違い無いでしょう。

けれども、

その人が「どんな」カウンセラー、セラピストなのか。
そして、あなたに合っているのかどうか。


それは資格だけでは分かりません。

心理カウンセラーやセラピストにとってもっとも大切なのは、心理学の理論や机上の勉強だけなく、
その人がどこまで自分自身と向き合い、自分の癒しに取り組んできたか」ということだと私は思っています。

私の師のひとりである溝口あゆかさんが「自分が到達した領域までしかクライアントさんをサポートできないだから、とにかく自分の癒しに取り組むこと。」と常々おっしゃっていましたが、心理セラピストとして経験を積むほどに、本当にその通りだと実感しています。
これまでの私の体験からも、「人の心の仕組みやトラウマの仕組み」というものを本当に理解するためには、自分自身の体験無くしては無理だろうと思うのです。
(最初に師事したのが溝口あゆかさんでしたが、「自分が到達した領域までしかクライアントさんを連れて行けない」とおっしゃっている人が最初の師で良かったと、心からそう思っています。)

「どれだけ自分の癒しに取り組んで来たか」が大切と言っても、それを知るための分かりやすい客観的な基準があるわけではないので、どうやって判断すれば良いのか…となりますよね(^^;)

それはやはり、ブログやホームページの情報をしっかり見てみることである程度は感じられるかと思います。
そしてブログやホームページの内容に共感できる場合、恐らくあなたに合ったカウンセラーやセラピストである可能性は高いでしょう。

セッションを受けるにあたって、
カウンセラー・セラピストとの相性や、あなたがその人を信頼できるかどうかという要素は、実はめちゃくちゃ重要です。

私も、自分を万人にとっての良いセラピストだとはまったく思っていません^^

自分が共感できる・信頼できると感じるセラピストに出会うことは、癒し旅の大きな鍵です

そして、率直に言ってしまえば、

あなたにとって良いセラピストかどうかは、資格の有無にかかわらない。

私はそう思っています。

どんな資格でも、資格さえあれば良いってものでもないし、資格が無いからダメってことでもない。
当然、逆も然りで。

要は、大切なのは「その人がどうか」ということです^^

カウンセラーやセラピストを探す時は、資格だけで判断するのではなく、しっかりと情報を見て、そしてご自身の感覚に照らしてみていただけたらと思います。

さらに、もしあなたが自分に合うとか信頼できると感じるセラピストに出会われたら、ぜひ本腰を入れて継続してセッションを受けられることをお勧めします。
心理療法やトラウマ療法は、継続してこそ得られるものがあるからです。

セッションやトラウマ療法を受けようと思われている方が、あなたにとっての良いカウンセラーやセラピストという心強いサポーターに出会われますように!

▼カウンセラーやセラピストの選び方について、もう少し詳しく書いた記事がありますので、よろしければそちらも読んでみてくださいね。


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