お話をしているときは、正直、きちんとした話題がなくて困ったなと感じていましたが、課題らしきものがないのは致し方ないと、ある種の諦めを感じました。
カウンセリングとセッションの違いはあまりよく分かりませんが、
なおこさんと対峙し、目を閉じて、意識を過去に遡らせたとき、私の手のひらの母指の根本をトントンとリズミカルに触れてくれていた、あのときのなおこさんの行為をセッションとするなら、セッションは気持ちよかったです。
目を閉じてすぐに、額に明るく温かな光がさしてきました。
あったかくて明るいなと感じて、意識を光とぬくもりの元に向けると、そこにマリアさまが佇んでいました。
マリアさまは両手を拡げ、すべてを受け入れるが如き笑顔で、こちらを優しく見つめていました。
マリアさまは銀色のティアラをかぶっていました。もしかしたらプラチナかもしれません。
なおこさんが言葉で、自分の過去に思いを馳せるように指示してくださいました。
刹那、臙脂よりも濃い、如何にもペルシャ絨毯そのものといった古典的な柄のカーペットに座り込んで、少し前かがみになって、白い紙にクレヨンで絵を書いている自分が見えました。
手にしているクレヨンの色は分かりません。
赤いキレイな綿のワンピースを着ています。
記憶に誤りがあったら、ご容赦ください。
私はひとりっ子なので、ひとりでいることに寂しさを感じたことはありません。
一人遊びも上手です。
これまでの人生で、こんな苦しみを感じるなんて、ということは度々ありました。
人並みの苦労、人並み以上の軋轢なども、決してなかったわけではないと思います。
しかしそれらは、ちゃんと自分のなかで消化し、納得し、相手との関係を見つめ直し、自分の足元を改めて踏みしめなおして、受け入れ、昇華し、今日に至っているのだと思います。
性格的に、あまり根に持つ方ではありません。
あるとき、人と言葉を交わしながら、気づいたことがありました。
私は自らの意志でこの人生を選んだ。
むしろ、自分でこの人生のシナリオを描き、この世に生まれたのだ。
そう感じる瞬間がありました。
それがいつだったのか、どんな状況だったのか、相手は誰だったのか。その辺りは、正直、分からないし思い出せません。
ただ、明確に、そう感じる瞬間がありました。
もっとラクな人生だってあったのに、私は敢えてこの大変な人生を選んだのだから、勇気を持ってこの人生を生き抜こう、なんて、そんな風に思って生きている時期もありました。
しかしその時期を振り返っても、それは悩みではなく、どうやってこの大変な状況を切り抜けていくのかという思いで、嵐の時期を通り抜けました。
母との関係も、必ずしも良好であったわけではなく、苦しみも多かったと、今振り返っても感じることはあります。
けれどやはり、それも悩みというよりも、私がクリアしなければならないことなのだという感じで捉えてきたもので、そうして切り抜け、母と絆を強めて、母を看取ることが出来ました。
自分が人に、つい何かをしてしまうというのは、かなり長い間疑問だったのですが、なおこさんと話をしているなかで、母から認められたいという欲求だったということに確信を持つことが出来ました。
漠然と、それが最初の動機だろうなと感じていたのですが、確信を持つことが出来たことは有り難いことでした。
なおこさんのセッションで、人のぬくもりの力を改めて感じることが出来ました。
体温、ぬくもりという生きている体感は、想像以上に気持ちを落ち着かせるものでした。
おもに母との思い出、そしてマリアさまが出てきてくれましたが、途中でひょっこりと父が姿を表しました。
今月の22日が父の命日です。
忘れていたわけではないのですが、改めて父の存在を思い出すことが出来ました。
父は大変に優しい人で、その昔、父がマリアさまに導かれて聖なる領域に旅立ったことを感じたことがあります。
多分父は、久しぶりに私の許を訪れてくれたのだと思います。
これらの感覚は、もしかしたら自分の脳が作り出した幻覚かもしれませんが、体感としては、姿はなくても両親の思いが、側に寄り添ってくれているという感じでした。
また、マリアさまがすべてを許し、大いなる愛で私を包んでくれて、導いてくださっていると感じています。
愛とぬくもりと感謝に包まれた時間でした。
すべての脳科学者が、あれは自分が作り出した幻だと笑ったとしても、私は確たる思いで、それを真実と受け止めます。
そしてその時間を私に与えてくださったのは、なおこさんの導きでした。
自然と涙が溢れ出てきました。
ある種のカタルシスが私を清浄にしてくれました。
別れ際のなおこさんの笑顔が印象的でした。
帰りの電車のなかで、どうしようもない眠気が襲ってきました。
本当に、目が開けられない程の睡魔に襲われました。クルマでお邪魔させていただかなくてよかったと、改めて思いました。
今、私の時間は穏やかに、優しく流れています。
今年還暦なので、人生の終わりに向けた準備を始めるときだと感じました。
ここから私の新しい、別な時間が始まるように思います。
今は亡き母のぬくもりを体感することが出来ました。
7年ぶりに父の笑顔を見ることが出来ました。
このセッションは、やはり私には必要なもので、得難い時間を与えて頂いたと、改めて感謝しています。
今すぐまたお世話になることはないかもしれませんが、またきっとなおこさんに導いて頂くときが来ると感じています。
このような出会いがあったことを心からうれしく思います。
小さく弱い私を慈しんで育ててくれた母に改めて感謝します。
いつも優しく微笑んでくれていた父に、もう一度ありがとうというチャンスを与えてくださって、なおこさん、本当にありがとうございます。
この文章を綴りながら、再び自分が喜びに包まれていることを感じています。
なおこさん、重ね重ね、本当に本当に、ありがとうございます。
(Nさまより)
※ご本人のご了解をいただきご紹介しております。